越境 EC は、出品してから考えようとすると必ず止まります。 止まる場所はほぼ決まっていて、価格・物流・決済の3つです。 しかもこの3つは互いに縛り合っているため、順番に決めることができません。
価格:国内価格をそのまま出さない
最初につまずくのがここです。国内の販売価格をそのまま外貨に換算して出すと、 送料・関税・決済手数料・返品にかかる費用が、すべて利益から差し引かれます。
見るべきは、自社の原価ではなく現地で客が払う総額です。 商品代に送料と税が乗った金額が、現地の店頭で売られている競合品と並んだとき、 どう見えるか。ここを確認せずに価格を決めると、売れないか、売れても残らないかのどちらかになります。
物流:送料は「費用」ではなく「価格の一部」
小さく高頻度で送る形にすると、送料が商品代に近づき、場合によっては超えます。 単価の低い商品ほど、まとめ買いを前提にした売り方を先に設計する必要があります。
もう一つ、開始前に必ず決めておくべきなのが返品をどこで受けるかです。 返送先を国内にすると、送料が商品代を上回ることが珍しくありません。 決めていないと、最初の返品が発生した時点で対応が止まります。 返品は例外ではなく、一定の割合で必ず起きる前提の業務です。
決済:使えない手段が1つあるだけで、かごで落ちる
決済手段は国によって主流が違います。クレジットカードが中心の国もあれば、 銀行振込や後払い、地域固有のウォレットが当たり前の国もあります。 自社が使い慣れた手段しか置いていないと、買う気のある客がかごの前で離脱します。
あわせて、価格を現地通貨で表示するかどうかも決めておきます。 円建てのままだと、客は自分でいくら払うのかを計算しなければならず、その手間の分だけ離脱します。
3つは、順番に決められない
価格を下げれば送料の比率が上がり、送り方を変えれば納期が変わり、 決済手段を増やせば手数料が価格に返ってきます。 1つ動かすと、残りの2つが動きます。
ですから、3つを別々の担当が別々のタイミングで決めると、必ず噛み合いません。 1枚の表に、商品ごとの「現地総額・送り方・使える決済」を並べて、同時に決めてください。 これが越境 EC の設計そのものです。
決めたら、最初の1件は自社で通す
3つが決まったら、最初の1件は自分たちで受注から発送までやってみてください。 書類にどれだけ手間がかかるか、実際に何日で届くか、現地でどう見えているか—— この3つは、やってみるまで分かりません。
外部に運用を任せる場合も同じです。価格・物流・決済の3つは、自社で決めてから渡してください。 ここを含めて任せると、条件が決まった理由が社内に残らず、 あとで単価や送り方を見直すときに、何を動かせるのか誰も分からなくなります。
最初は1か国・1商品群に絞る
複数国を同時に始めると、どの条件が効いたのかが分からなくなります。 1か国で3つの条件を確定させてから、次の国へ同じ表を作るほうが早く進みます。 国が変われば主流の決済も物流も変わるため、どのみち作り直しになるからです。
どの国から始めるかについては 海外進出、市場を選ぶ前に整理しておく3つの論点 もあわせてお読みください。 海外進出支援・海外営業代行では、この設計から現地との折衝まで対応しています。